履歴書を作成し、良い仕事を!

あなたの現在の位置:ホーム > 就職ガイド

新人の指導は、悩まず「10秒」で十分な理由

ソース:NewJob人才网 時間:2019-09-24 作者:Newjob ブラウズ量:

yjimage4UPCPG06.jpg

「新人を早く育てたい」「でも手取り足取り教えている時間はない」というジレンマは、多くのビジネスリーダーが抱える悩みだ。若手社員が入社数年で退職・転職し、人手不足やタレントの奪い合いが常態化しはじめている昨今、新人教育の悩みは企業にとってこれまで以上に深くなりつつある。ソフトバンクで2万人の社員教育に関わり、『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)を上梓した人材育成のプロが、その処方箋を提示する。


育成よりも、短期的な成果の創出に直面する指導者

私は、ソフトバンクに約10年在籍していた際、新入社員(以下、新人)の育成や新人を育てるエルダー(メンター)育成に深く関わってきました。その後、独立起業し、さまざまな業種の企業で、新人研修やOJTトレーナー研修の実施を通じて、2万人を超える新人やその指導者と接してきました。

これらの経験を通じてわかったことがあります。まず、新人視点で申しますと、新人は、自身が2年目になると、急に“もう2年目なのだから”と先輩に見放され、一人で業務を進めることに大きな不安を感じることが多いことです。1年目の新人のうちに、自分の頭で考えて行動するように促されることが少なかったことがうかがえます。

一方で、新人を育てる指導者視点で申しますと、彼らは大きく2つのモヤモヤを感じています。1つ目のモヤモヤは、「忙しすぎて、教える暇なんてない!! 」という気持ちです。指導者の皆さんは、“育成しなくては!”と頭ではわかっているものの、忙しいうえに、求められる自身の成果目標も高く、正直、目の前の業務に必死で育成どころではない状況が多いのです。

もう1つのモヤモヤは、「もっと自分の頭で考えて行動してほしい!!」というものです。
多くの指導者は、新人にもっと主体的に動いてほしいと思いつつも、いつも指示命令ばかりしてしまいます。

それは、結果として、指示がないと動けない新人を育ててしまっていることになるのです。自ら考えさせることをせずに、主体的に行動する新人を育てることはできないのです。

また、ついつい忙しくて、仕事を丸投げしてしまう場合も同様です。仕事を丸投げされた新人は当然ですが、困惑するばかりで、落ち着いて考えることができなくなります。

教える時間を減らせば、部下の成長速度が速まるワケ

では、「忙しくて教える時間がない」「でも、早く自分で考えて行動できる部下に成長してほしい」というこの悩み、どう解決したらよいのでしょうか?

それは「教える時間を短くする」ことです。より正確に言うと、教える機会は減らさずに(むしろ増やして)、質問を通じて考えさせることで1回の指導時間を極力短く済ませるのです。

部下を成長させて戦力になってもらうには、その都度ある程度の時間をとって懇切丁寧に指導することが必要だと思われがちですが、そうではありません。また、会議室で1on1をする余裕がなくても問題ありません。

日々の新人との会話の中で、ちょっとした質問を投げかけ、考えさせることが大切です。お互い構えた環境ではなく、通常の会話の延長線上で、短く、良質な問いを投げかけることで、指導者は育成時間を削減しながら、新人の主体性を高めていくことができるのです。

ここで問題です。質問を投げかけ、新人に考えさせることに、どれくらいの時間が必要でしょうか? 3分? 1分? そんなにかかりません。10秒もあれば十分です。

例えば、指導者であるあなたが、新人に同行営業を依頼され、商談時間の1分前にお客様先に着いたシーンで考えてみたいと思います。

ロビーのソファで新人とあなたが2人で座って、担当者が姿を現すのを待っています。その1分もない短い時間で、商談をよりよいものにするために、あなたは新人にどんな言葉を投げかけることができるでしょうか?

時間をかけずに、じっくり考えさせたいときの裏技

しかし、指導者であるあなたは、このように思うのではないでしょうか?

「もっとじっくり考えさせないといけないときもあるのではないか?」と。

確かに、考えさせる時間が7秒では、新人の口からパッと回答が出ないと、7秒以上かかることもあるかもしれません。また、そもそも、もっと新人にじっくりと考えさせたいというときもあるでしょう。そんなときは、次のような方法をぜひ試してください。

“問いかけたら、その場からすぐに立ち去る ”というアプローチです。

例えば、先ほどの新人への同行営業の例で、お客様の表情が商談中に一瞬曇ったシーンがあったとします。商談が終わったあと、指導者であるあなたは、すぐに別件で移動しなければならないときに、別れ際に次のような時短質問を投げかけます。

「商談の後半、お客様の表情が一瞬曇ったけど、その理由をメールで送ってもらえるかな?」

とだけ伝えて新人と別れます。

指導者はこのフレーズを伝えるだけなので、およそ3秒しかかかりません。一方で、新人は、良質な問いが投げられた場合、その後も深く考え続けることになります。

そして、指導者は、自分の空いた時間にメールで返答することもできますし、内容によっては、新人に直接アドバイスすることもできます。

このように、質問をして、その場から立ち去ることで、新人自身に時間をとってしっかりと考え抜く状況を作らせることができます。その結果、出てくる意見の質がよいことが多く、それによって、指導者のアドバイスも的を射たものになり、効率的な育成に繋がっていきます。

時間がない指導者にとっては、時短質問を活用した10秒トレーニングを通じて、日々考えさせることを地道に積み重ねていくことが大切です。このアプローチを毎日やるかやらないかで、新人の成長度合いは、1年後に相当な差が開いていることになるでしょう。

       by 島村 公俊さんの最新公開記事をメールで受け取る(著者フォロー)