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優秀なのに「独り立ち」できない若手に欠ける物

ソース:NewJob人才网 時間:2019-09-26 作者:newjob ブラウズ量:

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最近、20代の若手を部下として持つ何人かの人から、同じような悩みを聞きました。「最近の若手はすごく有能で仕事の覚えも早いのだけれど、半年、一年と過ぎて『そろそろ仕事を任せてみようか』という段階になって「<独り立ち>をさせようとすると、途端に問題が起きる」というのです。

能力も高く、言われたことはちゃんとできる。半年、1年と経験を積んできて、やるべき仕事を覚えたようなので、上司としてはもう仕事を任せて、独り立ちさせても大丈夫だと判断する。ところが、フリーハンドを与えられ、自分で考え、自分で判断をし始めた途端、パニックになったり、フリーズしてしまったりしてしまい、仕事が滞ってしまう……。

もしも、今の若者にこういう傾向があるということが事実だとしたら、いったい何が起きているのでしょうか?

若者に足りないもの

一つひとつの業務については、上司が想定する以上にきちんとこなすことができるのに、仕事を任せて、独り立ちをさせた途端、まったくパフォーマンスを発揮できなくなってしまう。

そういう部下に接すると、上司としてはどうしても「近頃の若者は……」と愚痴りたくなってしまう場面です。

アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

でも、よく考えてみれば、そもそも仕事を覚えて、独り立ちをするためには、それなりに時間と経験が必要なのは当然のことです。

おそらく、いま起きているのは「まだ独り立ちができるほど、仕事の全体像を把握できていない」にもかかわらず、「言われたことであればほとんど完璧にこなすことができる」若者が増えている、ということではないでしょうか。

この背景にあるのは、月並みですが、やはりインターネットの普及による、情報環境の激変があると思います。

今は、仕事に必要な一つひとつの情報であれば、スマートフォンさえあればすぐに手に入れられる時代です。上司からの指示や、仕事に必要なさまざまな情報も、メールの履歴や社内のデータベースを検索すれば知ることができる。こうした情報環境をうまく活用している若者たちは、一昔前だと考えられないくらいのスピードと的確さで与えられた仕事をこなせるようになっているのだと思います。

もちろん、このこと自体は、悪いことではありません。以前よりも早く仕事が覚えられるようになったわけですから。

ただ、注意をしなければいけないのは、これはあくまで「一つひとつの作業を、上司の指示に従って的確にこなす」ということについて言えることであって、「仕事の全体像を把握して、自分でマネジメントする能力」を身に付けるには、やはり以前と同じぐらい、時間と経験が必要だということです。

指示をされたことは的確にこなすし、ミスも少ない。当然、上司から見ると十分に仕事を覚えたように見える。ところが部下のほうは、個別の作業を何とかこなしているだけで、実は仕事の全体像をまだ把握してはいません。

上司は「これだけ一つひとつの仕事を完璧にこなしているのだから、もう任せても大丈夫だろう」と判断して仕事をどんどん回し、よかれと思って「そろそろ、一人でやってみるか?」と仕事を任せようとする。その結果、問題が起きる。

部下は「自分はまだ半人前なのに、次から次へと仕事を振られたうえに、放ったらかしにされた」と感じてしまうし、上司は上司で「せっかく信頼して仕事を任せたのに、どうしてこんなことに」と失望する……。

これは、やや図式化していますが、おそらく今のビジネスの現場で起きている、少なくない現実ではないかと思うのです。

一人前になるためには

もちろん、仕事というのは、一つひとつの作業をマニュアル的にこなす、という段階も大事です。誰でもその段階を通らないと、一人前になることはできません。ただ、マニュアル的に仕事をこなしているだけでは、いつまで経っても仕事の全体像を把握することはできないし、全体を任されて、マネジメントする、という段階まで成長することができません。

小学生ぐらいの子を持つ親が、学校でのテストの結果を見て、愕然とすることがあります。

低学年でひらがなや数字を覚え、簡単な計算問題を解いているうちはとくに問題なかったのに、小学校の4年生、5年生ぐらいになると、応用問題が何を自分に求めているのかをつかめないせいで、にっちもさっちもいかなくなる段階がくる。

仕事でも同じような「壁」があります。仕事の全体像を俯瞰(ふかん)的に捉えることができるかどうかは大きな壁であり、その壁を越えるには、インターネットで情報収集して上司の指示を聞いているだけでは難しい。一つひとつの作業を覚えるのとは別に、「全体像を把握する」意識を持つことが必要で、その力を伸ばしていかない限り「独り立ち」はできないのです。

では、部下に全体像をつかむ力を身に付けてもらうために、上司ができることとは何でしょうか。僕がおすすめするのは、「部下に話をさせる」ということです。

こう言うと「え? 部下からはいつも、報告を受けているし、たくさん話をしていますが?」と思われるかもしれません。でも、上司と部下との会話では、往々にして「上司の話に部下が同意する」という会話パターンを繰り返してしまいがちです。

例えば「新製品の売上予測」について上司と部下が話すと、大体こんなやり取りになるのではないでしょうか。

上司:「前回は、発売1ヵ月でどれくらい売れたんだっけ」
部下:「ええと、○○個ですね」
上司:「そうか。今回は発売1ヵ月で○○個だから、前回の20%増ぐらいは目指せそうだな!」
部下:「そうですね。頑張って売っていきましょう!」

こういう会話をしていると、上司としては、部下が自分と同じくらい状況を把握し、判断しているように思い込んでしまいます。でも、現実には上司の言葉にただ「反応」しているだけであって、自分で考え、判断することはできていない可能性がある。

つまり、「イエス・ノーで答えられるクローズド・クエスチョン」だけでは、部下がどれくらい、仕事の全体像を捉えて話をしているのかがわからないのです。

部下を「独り立ち」させるコツ

部下に声をかけるときは、なるべく「イエス・ノーで答えられるクローズド・クエスチョン」ではなく、「次の新製品は、どれくらい売れるだろう?」「次はどんな商品をつくるべきだろう?」といったオープン・クエスチョンを投げかけてみる。

そうやって、部下にイチから「話」をさせてみると、部下が本当に仕事の全体像を把握しているのか、上司の言葉に反応しているだけなのかが見えてきます。

このとき、注意してほしいのは、「上司と部下の意見を一致させる」ことに力点を置かないということです。必要なのは、上司に同調するイエスマンではありません。部下の一人ひとりが仕事の全体像を把握したうえで、自分で考え、判断したことを筋道だって話ができているかどうかが大切です。

上司は心のどこかで「自分の部下は優秀だと信じたい」という気持ちを持っています。だから、部下と会話をしていると、つい先回りをして「俺は◯◯だと思うんだけど、君はどう思う?」という聴き方をしてしまう。でも、そうすると部下は「私もそう思います」と答えるだけで、会話が終わってしまいます。これでは、部下が全体像を捉えているのか、上司の言葉に付和雷同しているだけなのかの判断がつきません。

上司からのクローズドな質問に答えるだけであれば、全体像を捉えていなくても、いくらでも気の利いた答えができます。とくに今はインターネットでいくらでも知識や情報を手に入れられる時代です。こうした時代においては、人はいくらでも自分を「優秀に見せる」ことができてしまうのです。

半年に一度ぐらいでもいいので、部下に何か一つのテーマについて話をさせる。それによって、部下がどれくらい仕事の全体像を把握しているのかを知り、その力を伸ばしていくように促していくことができるでしょう。

全体像を把握するトレーニング

全体像を把握する力をつけるには、ほかにも、さまざまなアプローチがあります。例えば、「文章を書く」というのも有効なトレーニングです。別に、仕事に関わるテーマでなくても構いません。ある程度の長さがあって、自分以外の人が読んだときに、因果関係や理路がしっかりと伝わるように意識して文章を書いてみる。

実際にやってみると、「他人に伝わる文章を書く」ということの難しさがよくわかります。そして、断片的な情報で「わかったつもり」になっていただけで、本当は全体像をほとんど把握できていなかった自分にも気づくはずです。

いずれにしても重要なことは、二つです。つまり「全体像をイメージできること、そのイメージを他人に伝わる言葉を紡いでいくこと」です。断片的な知識で仕事をしているうちは、その仕事について知らない他人を納得させるだけのストーリーを語ることができません。

ひとつながりのストーリーを語る力。それが「独り立ち」に必要なスキルです。

さらに「オープン・クエスチョンでイチから話をさせる」ということも「まとまった文章を書く」ということも、全体像をイメージする力を高める方法でもあります。イメージを固めてそのストーリーを語れる。それこそが、仕事で独り立ちするための「壁」を越えるための道なのです。